Faculty of Health Sciences 杏林大学保健学部 |
先天性シャーガス病の調査に関して
この調査は慶應義塾大学熱帯医学・寄生虫学教室の科研費調査で、共同研究者として同行したものです。シャーガス病
トリパノソーマクルージー(Trypanosoma Cruzi)による原虫病。ブラジルを中心に中南米各地に見られる。サシガメ(Triatoma)によって媒介され、その糞中に排出される錐鞭毛型が、皮膚(ひかっき傷、粘膜)を介して侵入する。1〜2週間の潜伏期の後に発病する急性型は幼児に多く、発熱、リンパ節の腫脹、肝・脾腫、顔面の浮腫(Romanaの徴候)を特徴とし、致命率が高い。成人では多くは慢性症型で、心筋炎、心拡張、食道拡張、巨大結腸、脳脊髄炎、腹水貯留などがみられ予後不良。確実な治療薬はいまだない。
先天性シャーガス病
本調査の場合、先天性とは、出生前にT.cruziが胎児内に入り感染が成立し、出生時に新生児の血液内で原虫が確認された事をいう。母胎から胎盤を経由し、胎児に感染すると考えられ、約5%の確率で胎児へ移行すると言われている。
サシガメ(Triatoma)
サシガメ科(Reduviidas)に属する昆虫で長い鋭い口吻をもち、多くは補食性であるが人畜をさして吸血する種類もある。主にRhodnius Prolixus、Panstrongylus Megistus、Triatoma InfestansなどがT.cruziを媒介する。